固い相手には、柔軟に向かう
今月は、『老子道徳経』第七十八章の言葉を、ご紹介致します。
「水はもっとも柔弱であるが、かたくて強いものを攻めるには、これほど強いものはない」という老子の兵法の極意です。つまり、剛強には、柔弱をもって向かうのが良いというのです。
これは、私たちの日常の過ごし方に、すばらしい示唆をあたえています。相手が強く出てきたら、こちらは柔らかく優しく対応するのがよいということなのです。
あどけない孫娘がニコニコと話しかけると、今まで仕事のことで怒っていたおじいさまが、急に笑顔になる、そんな光景を目にされたことがある方も多いのではないでしょうか。
赤ちゃんや幼児の無邪気な笑顔は、誰もを笑顔にしてくれます。日常の忙しさにかまけて、つい固い顔になっている私たちは、幼児の柔らかさに大いに学ぶところがありそうです。
相手が仕事の相手であっても、また家族であっても、こちらが相手を意識しすぎて、固い顔で、作為をもって当たるより、本来のありのままの笑顔で素直な気持ちで向かうことが良いのです。弱い自分、未熟な自分を隠そうという力みや見栄がない無為自然の姿こそ、最も強い生き方なのです。
著名な「北風と太陽」というイソップ童話にも同じようなことがいわれています。旅人の分厚いコートを最後に脱がせたのは、冷たい北風の強風よりも、暖かい太陽の光だったのですから。
健康に大切な柔軟さと、頑張らない生き方
水に学ぶ柔軟さは、私たちの心や体の健康にも、よい示唆を与えてくれます。体が硬くなり、老化してきたら、柔軟な心や体を目指すのが良いのです。
血管も若い時は、血液もきれいでさらさらと流れていますが、年とともに、老廃物がたまり、血管壁に付いて、だんだん流れが悪くなり、血管も硬くなります。その血管を柔らかく保つには、体にストレスを与える無理に急激な運動や、厳しいトレーニングに挑戦するよりも、柔軟な呼吸で、酸素を取り入れながら自然に体を動かす有酸素運動や、やさしい無為自然な動きから入ることが良いのです。
日常生活で、心も柔らかく無為自然の笑顔で過ごすこと、そして柔軟な体を目指す生き方は、生涯現役に充実した人生を開くためには、忘れてはならないポイントです。そして、この方法は、家庭の中を楽しくするのにも、きっと役立ちます。
見栄をはらず、強がらず、子供のような素直な笑顔に戻って、日常を過ごしてみましょう。きっとあなたの毎日が、新鮮に楽しくなることでしょう。
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